◆啓林館『小数』

 

1 つまずきポイント

    小数の意味理解や量感が捉えにくい。

    小数のあわせた数と集めた数の問題でつまずく

    10倍や10でわる問題で小数点を打ち間違える。(十進構造の理解)

    小数の足し算や引き算で小数点を打ち忘れる。

    単位の変換ができない。

 

2 攻略ポイント

 

    リットルマスを塗る作業で量感を捉える。

    丁寧に基本型を書かせて解かせる。

    →を使って小数点を移動させる。

    小数点を最初に打つ。

    位をそろえて基本型で解く。

 

    目盛りを数えリットルマスを塗る作業で小数の意味や量感を捉える。

 

小数は、整数と違い子どもたちの身近にあまりない数字の世界である。そのため0.01と言われてもいったいどれくらいの数かイメージがわかない子も多い。そこで、教科書に描かれているリットルマスの図を活用する。1.6Lのリットルマスであれば、目盛りを0.1ずつ数えさせる。

「リットルマス、0の目盛りに鉛筆で押さえます。数えます。0.1、0.2・・・0.9、1」

「1L分赤鉛筆で色を塗ります。」

「同じようにはしたを数えます。0.1・・・0.6」

「次、何をしますか?」(赤鉛筆で色を塗る。)

「その通り。はじめ。」

「合わせて、何Lになりましたか?」(1.6L)

 

このように目盛りを数える作業とリットルマスを塗る作業によって、小数の意味を理解し、量感を捉えることができる。これは100分の1の位である。1.36などでも同じように作業をさせる。

    丁寧に基本型を書かせて解かせる。

小数のしくみの問題は大きくいって、2種類ある。小数のあわせた数と集めた数を問う問題だ。これらは、それぞれ基本型をノートに丁寧に書かせることで、攻略できる。

 

◆あわせた数

問「42.195は10、1、0.1、0.01、0.001をそれぞれ何個あわせた数ですか。」

 

【基本型】

42.195は、

10    を4こ

 1    を2こ

 0.1  を1こ

 0.01 を9こ

 0.001を5こ

 あわせた数

 

◆集めた数

問「3.287は0.001を何こ集めた数ですか。」

 

【基本型】

3.287は

0.001を

32871こ

あつめた数

 

これら2つの基本型を書かせる際に注したいのが、縦に位をそろえるということだ。これをしっかり指導しないとこの基本型が全く効果をなさない。ペアでの確認やノートチェックなどが小まめにしていく必要がある。

 

    →を使って小数点を移動させる。

 

「10倍すると、小数点が右に1つずれる。」

「10でわると、小数点が左に1つずれる。」

これが身に付けさせたいスキルである。しかし、頭で理解しようとするだけでは、小数点を打ち間違えることにつながる。そこで矢印を書かせて、作業とともに理解させる。

 

【基本型】

 

0.34×10=3.4

  ⤴ 

0.34÷10=3.4

 ↩

 

このように矢印を書かせて、実際に小数点を移動させる作業をさせてから、答えを書かせるようにすることで、小数点の打ち間違いを防ぎ理解も深まる。これらの基本型は、100倍や100でわる場合でも同様にできる。

 

    小数点を最初に打つ。

 

小数のたし算とひき算は基本的に簡単である。しかし、子どもたちが最も間違えるのが、小数点を打つ作業を忘れることだ。だからこそ、最初に小数点を打つ作業をさせる。

【基本型】

 

4.3

+2.5

  6

 

この基本型を教えた後は、子どもたちに次のように聞くと良い。

「まず、何をしますか?」(小数点を打ちます。)

 

これを繰り返し、問題を解かせる最初や答え合わせの最初に、小まめに聞くことで、小数点を打つ意識が生まれる。また、問題を解いた後、見直すことも繰り返し伝えていく。

 

    位をそろえて基本型で解く。

 

この小数の単元で子どもたちが最もつまずくのが単位換算の問題である。この単位換算は6年生でも出てくるが、なかなか理解できない子が多い。すぐにできるようになるわけではないが、『位をそろえて基本型で解く』これが攻略の一番の近道となる。

 

【基本型】

125㎝

 

 100㎝

 1.m

 1.25m

 

3826m

1000m

1.  ㎞

3.826㎞

このような位をそろえて書いた基本型で解かせる。

「125㎝をmで表します。」

「100㎝は何mですか?」(1mです。)

「1.  mと書きます。」

「125を写す。」

「小数点を下す。」

「1.25km」

 

最初はこのように指示を出しながら、書き方の手順を教える。そして、段々と省略していく。大切なのは位をそろえて基本型を書く事である。また、子どもたちが「100㎝=1m」「1000m=1㎞」といった基本的な単位についての知識が乏しい場合は、しっかりと復習をしておくことが大切である。フラッシュカードなどで、授業開始1分程度やっておくだけで、単位換算の問題を解く土台となる。これができていなければ、いくら基本型を書けるようになっても、問題は解けない。

 

3  授業の考察

 

 子どもたちにとって身近ではない小数の世界に入っていく事で、なかなか理解できない子も多くいた。些細なことかもしれないが、子どもたちにノートを書かせる時に、小数点をどのように書かせるかは重要である。何も指示を出さないと、当然子どものノートはバラバラになる。例えば、1マスに3.2とまとめて書かせるやり方がある。これは絶対にやめた方が良い。子どもたちが小数点を打ち忘れたり、位をそろえる作業ができなくなるからだ。1マス1字を基本に、クラスの中で小数点の打ち方ノートの取り方をそろえておいた方が良い。

 また、小数の十進法とも整数の十進法と同じだということが分かる子は簡単に理解ができるが、小数の十進法の仕組みに悩む子も出てくる。→を書く作業がこの理解を助けていった。

 単位換算は苦しむ子が多かった。反省としてはもっと単位について、普段からフラッシュカードなどで取り組むようにしておけば良かったと思う。

 

 

【参考文献】 算数授業の新法則4年生編、山口県の河田先生学級通信